- その1 -
皆が、同じ時の中で、だが別々の生き方をしてゆく。
時の中で、人は生き、そして変わってゆく。
喜びも、悲しみも、すべてを思い出に刻みながら。一歩ずつ先へと進んでゆく。
有史以来、時は変わることなく流れ続けた。何年も、何千年も。
そして、今、この瞬間も…。
それは、誰にもとめることなどできない。
時は、何事も歯牙にかけることなく淡々と過ぎてゆく。
それは、仕方のないことなのかもしれない。
諦めることは容易い。だが、認めることは難しいのだ。
我々は、三次元世界に生きている。
もしも、二次元世界の住人を考えたならば、それは、奇妙で愚かなものに見えるだろう。
なぜなら、彼らは奥行きを持たないのだから。
我々は、三次元世界に生きている。
もしも、四次元世界の住人がいたら、我々を、奇妙で愚かなものと見るだろう。
なぜなら、我々には、分からない、何かが足りないのだから。
矛盾とは何か?
同じであって違うもの。
答えは出ない。
なぜなら、それこそが矛盾の本質なのだから。
内に秘めた静止。
紺碧の空が高い。雲一つなく晴れ渡って、遥かな天を支えている。
ようやく生い茂った若葉をざわめかせながら、風が過ぎてゆく。
そんな空の中に身をおき、風の中へと溶け込んでゆく。
そして、自然の息吹きを感じつつ、はたと想う。
我らはみな、同じなのだと。