現実と虚構


 私はTVのドラマはほとんど見ない。これまでに面白いと感じたドラマも数えるほどしかない。なぜだろう。
 考えた結果、一番の理由は「ありえなさすぎる」からだろうか。見え透いたストーリー。ありきたりの設定。わざとらしい演技。そういったものが目についてしまう。たとえ設定がよくても、それを生かし切れていない脚本や、特徴を出すためなのだろう街中では見かけるはずもない役者のメイクや仕草。ドラマの世界に入り込む前に、まずそういったものが目についてさめてしまう。事実は小説よりも奇なりというように、ドキュメンタリーの方がましだと思ってしまうのだ。
 ここまで書いていて感じたことは、私はドラマに現実感を求めてしまいすぎるということなのだろうか。
 これが、漫画やアニメだと話が変わってくる。もともと「ありえない」ものを題材にしているのだから、ありえないことが不利にはならない。見る人の想像力で補う部分が多いと言うべきかもしれない。だが、ドラマは実際に生身の人間が演じているのだ。映像を想像力で補完する余地はあまりない。漫画を原作にしたドラマで見られるのだが、原作に忠実なキャラクターとして演じようとするあまり、実際にはいそうにない登場人物ができあがることがある。
 一方で映画の場合、ドラマと同じように人が演じているのではあるが、2時間超という時間の中で、それぞれのキャラクターの味付けを行い、ストーリーの起伏を持たせればよいことになる。これはドラマが、1時間足らずの時間の中で起伏をもった展開を期待されるのとは難易度が大きく違う。きっとストーリーの作り方そのものが違うのだろう。よい映画というのは、よい意味でシンプルであると思う。対して、ドラマではシンプルでは毎週続けられない。
 そういう意味では、現実感を持ったまま、毎回ストーリーに起伏があって、それが1クール全体を通してまとまっている、というのが私の理想のドラマ像になるだろうか。…確かにそれは難しいかもしれない。でも不可能ではないはずだ。実際にハンディを逆手に取ったおもしろいものも存在する。私の見方が厳しいのは十分承知しているし、こんな見方自体が特殊だということも分かっている。だが、それでも私は期待しているのだ。現実と虚構の狭間で、見る者をうならせてくれるような、脚本家・役者たちの活躍を。


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